ヘレニズム時代に成立した哲学ないしその学派である。この派にちなむストイック(stoic)という言葉が示すように、禁欲的な思想と態度によって知られる。ヘレニズム時代以降の古代ギリシア・ローマの時代においてはアカデメイア学派、逍遥学派、エピクロス派と並んで四大学派とされていた。ストア派なる名は、ゼノンがアテナイの彩色柱廊(ストア・ポイキレ)で教授していたことにちなむと言われている[誰が?]。
とくに古代ローマの共和制末期からキリスト教を認める前までの帝政期における影響は非常に大きく、後述するように皇帝すらそれに帰依した。
アテナイでゼノンによって開かれたギリシア哲学の一派であり、徳と平静さを重んじた。その起源はエピクロス派と同時期ではあるが、より長い歴史を持ち、その教説における恒常性はより少なかった。ストア主義は犬儒学派の教説の中で最良のものを受け継ぎ、より完備して円熟した哲学となった。
ローマ時代において重要なストア主義者として名を残しているのは、奴隷エピクテトス、「哲人皇帝」として有名なローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス、大臣セネカである。ストア主義は、非道な権力に抗する際や、災難の続く事態に対峙する際の慰めとなった。
それぞれの考え方は互いに密接に関係している。
ストア派の思想については現存資料が後期に偏っているため、前期・中期の思想は明確にはわからない。したがっていくつかの断片的資料や、後期でも最も前期に近いとされるキケロ、エピクテトスの思想(ただしエピクテトス自身は著作を残さなかったことから彼の思想は弟子のアリアノスの記録による)から推測するしかない。
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自分達が善い生き方であると考えた生き方について実践することを要求する。堕落した生活は魂までをも堕落させると考える。ソクラテスの「ただ生きるのではなく、より善く、いきる」につながる考え方だと思われる。また、ストア学派はソクラテスの主知主義を継承し、徳即ち知であるとした。
ストア学派はあらゆるものは物質であるという唯物論的立場を取っており、魂すらもその例外ではない。
あらゆる感情から解放された状態を魂の安定とし、最善の状態として希求する。アパテイア(?πάθεια/apatheia、語源的にはパトスpathosに否定の接頭辞「a」が付く)と呼ばれるこの境地は賢者の到達すべき目標であるとともに、ストア学派における最高の幸福であった。当然、死に際しての恐怖や不安も克服の対象と考える。その理想としてよくソクラテスの最期が挙げられる。怒らず、悲しまず、ただ当然のこととして現実を受け入れ行動することを理想とする。
自己の命をあっさりと扱うが、人間それぞれの究極的、最終的な自由意志を全面的に尊重しているが、決して他者に対しての殺人は肯定しない。ただし当時の他の哲学と同様に敵に対して勇猛に戦うことは善とされた。(当時の世相を反映し解釈すれば至って当然)このような考え方は「魂は神から借りているだけ」という言葉に端的に表されている。(人は最終的に神からの分け御霊であるということを主張)
さらに善悪無記(アディアポラ)の思想に立てば、命は善ではなく、「望ましいもの(プロエーグメノン)」でしかないため、状況如何(四肢の切断や非常な老齢、不当な命令に従わなければならない等)によっては自殺も肯定した。
これにより人は運命を受け入れる「覚悟」が必要であることを悟る。しかし、不完全な運命を補正する自由意志により運命さえも自己の意識によって良き方向へと革新できると主張する。